リアリティのダンス

評価

★★★★☆

いつかまた見返したい

 

あらすじ

全員狂人。小人や身体欠損、陰部の露出などタブーを盛り込みまくった衝撃的な映像。

ストーリーは脇道がありながらもテーマを感じさせるため理解しやすい。

ユダヤ人の共産主義であるが故に苦しんだ主人公の父が大統領を暗殺するために旅をするも、敵の中に善性を感じて実行することができなくなる。故郷に残した妻と子の元に帰るために様々な苦難を乗り越え、これまでの自分と決別して新しい土地へ向かう。その父の生き様を見て息子が成長する。

 

感想

ミニシアターでしかできない表現。オカルトな母親、独裁的な父親、狂気に満ちた他の人物と世界。まるで悪夢の世界で、これは観てもいいものなのだろうかと思ってしまうほど。

ただテンプレート自体は普通の映画を踏襲しているので理解しやすい。犬の仮装から、父親もこれまでは仮装をして自分を隠していたとか、男らしさに固執する父と母性の塊のような母。神の影である暗闇との一体化など、重要なことを示唆するシーンも多く、意外とメッセージ性も強い映画になっている。

感覚だけで作ったような難解な映画とは違って作品としても完成させているのが素晴らしい。

登場人物を通して狂気の世界に触れることで、この映画をさらに理解できるのかもしれない。